ワークショップ
2007年度 第1回 市場班ワークショップ
- 日時
- 2008年3月8日(土) 10:00-18:00
- 場所
- キャンパスイノベーションセンター内大阪大学東京オフィス(601号室)
- 参加人数
- 19名
報告概要
10:00-10:50
「社会心理学とゲーム実験」
「社会心理学とゲーム実験」
報告者の研究室で現在進行している一般の人を対象にした実験について報告され た。一般の人は、従来の実験対象の学生に比べと違い、参加者がさまざまなバッ クグラウンドを持っている。したがって、従来とは異なった実験結果が期待でき る。報告中の質疑では、適応や心とは何かといった点や、ペン選択実験について などが議論された。

11:00-11:50
Psychological Response Function of Punishment and the Evolution of Cooperation Level
(Mayuko Nakamaru and Ulf Dieckmann)
本報告では、ある種のゲームにおける、協力レベルに応じた懲罰を考慮したモデ ルがとりあげられた。協力や懲罰についての先行文献が解説された上で、モデル の設定および解析の結果が説明された。報告中の質疑では、評価関数や懲罰に関 しての仮定、モデルを検証する実験はどのようにすれば可能なのか、といった点 が議論された。

11:50-13:00 昼食休憩
13:00-13:50
Do Noise Traders Affect Stock Prices? An Experimental Study
(Kenju Akai, Shinichi Hirota, Takao Kusakawa, Yasuhiko Tanigawa, and Tatsuyoshi Saijo)
仮想的な株式市場上で短期的な裁定者の取引と長期的な裁定者の取引を比較した 実験についての報告がされた。まず、裁定取引・ノイズトレーダー・裁定者とい った基本概念が説明された後、実験のデザインについての説明が行われた。実験 の結果として、ノイズトレーダーは短期・長期においても株価に影響を与える事 が示された。質疑では、実験の設定と現実との関連性についてなどの議論が行わ れた。

14:00-14:50
The Toehold Effect in Corporate Takeovers: Evidence from Laboratory Markets
(Yasuyo Hamaguchi, Shinichi Hirota, Toshiji Kawagoe, and Tatsuyoshi Saijo)
会社の乗っ取り屋(raider)は、乗っ取ろうとしている会社の株を、乗っ取りを仕 掛ける前にいくらか買う事がある。本報告では、対象情報と非対称情報下で事前 の株の取得が買収行動にどのような影響を与えるかという点を考察した実験につ いての報告がされた。実験の結果として、おおむね理論を支持する事が示された。 質疑では、売り手同士の戦略性をどのように考えるかなどが議論された。

15:00-15:50
「おコメ市場とAverage Price Two-Sided Auction 」
日本の米市場の制度を検証するためのオークション実験について報告がされた。 まず、日本の米市場の制度の変遷について説明がなされた。その上で実験のデザ インおよび結果の説明がなされた。実験の結果として、指値制約がある場合は価 格がほぼ均衡の水準になり、指値制約がない場合は価格が独占価格と均衡価格の 間になる事が示された。質疑では、今後の制度変化に対しての話などが行われた。

16:00-16:50
「不動産市場実験:サンクコストとバブル」
(宇田川大輔、鈴木久美、西畑知明、広田真一)
現在の不動産鑑定法の下において、バブルが発生しうる要因としてサンクコスト 効果に着目した実験について報告がされた。現実の不動産取引の状況や不動産の 基本的な評価法についての説明があった後、実験のデザインと結果が説明された。 実験の結果として、サンクコストはレントに影響している事が示された。報告中 の質疑では、サンクコスト効果の測定方法や、独占などの別の要因によって結果 が出ているという可能性などについて、議論が行われた。
